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東京から消えたシジミたち(その1) / Extinct "Blues" in Tokyo (Part 1) [日本の蝶 / Butterflies JAPAN]

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▲東京都産のミヤマシジミ♂(日野市、1953年9月)

東京から消えたシジミたち(その1)

 戦後、急速に都市化が進んだ日本の首都・東京から消えたチョウは数多い。これまでにも当ブログではギフチョウを取り上げたことがあり、人気種ゆえかさすがにこの記事には多くのアクセスがあった。
 今回、続編として2回シリーズで、東京から消えた2種類のシジミチョウについて紹介したいと思う。まず1種目はミヤマシジミである。ミヤマシジミは各地で減少が伝えられているが、現在でも栃木県、山梨県や長野県では健在で、産地に行きさえすればその姿を見ることはそれほど難しくない。だが、本種がかつて東京都でも見られたことを知る世代はもう古稀を過ぎるほどになってしまった。有名だったのは東京都立川市や日野市にまたがる多摩川の土手であった。時期になると線路沿いや川の土手に可憐な姿が見られたという。1960年代には絶滅してしまったと考えられている。

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▲東京都産のミヤマシジミ♀(日野市、1953年9月) 

 上に図示したのは東京で古くから蝶屋をしている先輩のコレクションに所蔵されている1ペアで、保存状態も良い。1953年といえば朝鮮戦争の頃で、大切に保管されてきたとはいえ、高温多湿の日本でよくこれほどの保存状態で残っているものだと感心する。

 と、これで話が終われば簡単だったのだが、じつは驚くべき情報を最近になってブログ編集子は入手した。ミヤマシジミが東京から絶滅したと考えられてから20年も経った1987年に、東京都の、しかも都内の世田谷区二子玉川でミヤマシジミが採集されているというのだ。その標本は以下のものである。

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▲東京都産のミヤマシジミ♂(世田谷区二子玉川、1987年10月)
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▲東京都産のミヤマシジミ♀(世田谷区二子玉川、1987年10月)

 これらの標本が保管されているのは当会の事務局がある進化生物学研究所、採集者はこの研究員として活躍したS氏である。S氏から直接話を聴いたという研究所の青木、山口両主任研究員によれば、当時中学生だったS氏はこのチョウがミヤマシジミであることを認識し、ネットを持って周辺をくまなく探索して採集したのだという。この結果、同日に3♂2♀が得られ、すべて標本が残っている。偶産や放蝶由来のものとはちょっと考えづらく、1987年当時、二子玉川にはミヤマシジミがまだ生息していたのだと考えざるを得ない。

 この話を聞くと、居なくなったと簡単に決めつけることは早計であり、くまなく捜せばまだ広大な多摩川のどこかにミヤマシジミが生き残っているのではという気にもなる。

 今回、この貴重な記録を紹介することで、新たな朗報が届かないかと期待する次第である。



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