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南洋パラオの蝶 [世界の蝶 / Butterflies World]

南洋・パラオ諸島の蝶

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▲パラオ諸島の地図(出典:パラオ政府観光局)

 このほど天皇、皇后両陛下が慰霊のためにご訪問され、一躍脚光を浴びたパラオ共和国。パラオは1914年から1945年まで日本が統治していた。リュウキュウムラサキ(Hypolimnas bolina)の赤紋型が「パラオ型」と呼称されていることをご存じの方も多いと思う。
 タイムリーなことに、当会会誌No.67に「パラオ諸島の1984年および2010年のチョウ類(1)」が掲載されている。著者は鹿児島の重鎮、元当会会長の福田晴夫氏と、福田氏の教え子である二町一成氏である。両氏はリュウキュウムラサキの研究で長年世界をリードしているが、その研究の一環としてパラオ諸島で調査をされた。その結果を2回に分けて詳述したもので、今後のパラオ諸島のチョウ類研究の基本となる文献であろう。ちなみに続編はまもなく発行されるNo.68で掲載予定である。

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▲ウスグロマダラ(Euploea algea) パラオ諸島コロール島産 
Euploea algea label.JPG
▲同標本のラベル

 さて、ブログ編集子の手元にもパラオ諸島の標本が1つだけある。それが上記のウスグロマダラ(Euploea algea)である。本種はネパールからサモア諸島まで広く分布することが知られ、多くの亜種に分割されている。このパラオ諸島産の1頭は、少し前に先達からご恵与いただいたものである。ラベルには1941年とあり、飼育羽化の個体のようである。この標本が得られてから7か月後、太平洋戦争が開戦することになる。採集・飼育者名も書かれていないが、彼はあの苛烈な戦争を生き延びたのだろうか。

 ことしは戦後70年。両陛下の慰霊に合わせてパラオ諸島の蝶について当記事を紹介させていただいた。以前、ハルマヘラ島で得られたムラサキシジミ属の古びた標本について記事を書いたことがある。その中で、「平和でなければチョウの研究などできない」と書いた。今回のウスグロマダラの古びた標本が語るのも同じ事実であろう。物言わぬ標本は確かな事実を教えてくれる。



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